俺とダンジョンマスターとの出会い

俺がダンジョンマスターと初めて出会ったのは、
えーと、うん。
中学2年くらいだったかな。





その、





あの、










友達が万引きしたのです(;´Д`)
続・ダンジョンマスター カオスの逆襲を。

いや、もうとっくに時効だからさ・・・
しかしまぁ、
パソゲー特有のあのクソでかいパッケージを、
よくかっぱらってきたもんだ。(感心するな)

当時ファミコン全盛期でしたが、学校のパソコン教室に
個人でゲームを持ち込んで遊ぶのが流行っていました。
当然のようにエロゲーもやりましたが、
それよりも俺はソーサリアンにハマっていました(´-`)
そんな混沌とした時期に、
先程の友達が俺のもとにダンマスを持ってきたのです。
確か、MS−DOSをインストールしないと遊べないらしく、
さっぱり意味が分からんから頼むよ。
そんな理由だったように記憶しております。

そんなわけで、俺とダンマスとの運命の出会いは
あまり清いものではありませんでした(⊃д`)

それはともかく、
家にPCがあった俺はさっそくダンマスを持ち帰り、
順調にMS−DOSをインストール。
それが終わると、ちゃんと動くか試す・・・いや、
動作確認をします。う〜ん。カッコイイ。



俺は基本的に、新しくゲームを始める前には、
必ず説明書を読むんですが・・・



ネクラゲー?


それが第一印象でした(;´Д`)



プチ不良でイケメンで遊び人なあいつが、
なんでこんな暗いゲームを・・・
まぁいいさ。
彼女より男友達との付き合いを大切にするイイヤツだ。
ただちょっと魔が差したんだろう。
誰にでも間違いはある。
だがあくまでも依頼は依頼。
動作確認をかねて少しだけ遊んでみるか。

適当なキャラを選び、
いざダンジョンへ!



ガタガタガタガタ。

5インチのフロッピードライブが
恐ろしい音をあげて読み込んでいる。

ガタガタガタガタ。




・・・画面が変わった。ダンジョンに降り立ったらしい。
しかし、画面は真っ暗だった。

バグってる?
いや、うっすらと目の前に鉄格子が見える。
まさかこんな画面でゲームを進めるのか?
そういえば、説明書に「音が重要」って書いてあったな。

俺はPCのスピーカーの音量を上げた。

小さく無機質な音で、
「フオォー、フオォー」という音が聞こえる。
なんだろう。
俺はキーボードを使って横を向いてみた。

やっぱり真っ暗だったが、
足元に何かがいる。
その「何か」が動くたびに、

フオォー フオォー

そして、そのたびに俺はダメージを負っていた。
わけが分からん。

やがて、断末魔の悲鳴が聞こえた。
俺のキャラが死んだらしい。
なんだこのクソゲーは。


一応、動作確認は終了?
いや、このままでは納得できない。

もういちど説明書を見てみる。
すると、最初の階のマップがあった。おお、これだ!
ふむふむ。
スタート地点は正方形の大広間になっているらしい。
そして床にたいまつが落ちているようだ。全然気付かなかった。

よし。今度こそ。
さっきと同じキャラを選びダンジョンへ・・・



・・・・・・・・・・



再び真っ暗なダンジョン。
横を向くとやっぱり「何か」がいる。

フオォー フオォー

俺は黙って足元を探った。
お。
あったあった。
たいまつを発見。

さっそく手に持つと、
たいまつに火がつき、周りがパッと明るくなった。
そして俺の目の前には・・・



人間のような大きさの丸虫がいました。



フオォー フオォー

ヤツはその大きな口を開け、
俺に噛み付いていたのだ!








うわああああああああああああ


俺は思わず悲鳴をあげ、必死で逃げた。
手が震えてうまく動かない。
なんとか大広間の隅まで走ると、ゆっくりと振り返った。

さっきの丸虫は俺を見失って後ろを向いている。
どうしようどうしようどうしよう。
いや、落ち着け。これだけ離れていれば安全だ。
ゆっくり考えよう。

と思ったのも束の間。
丸虫がこっちを見た。
一歩。また一歩。こっちに近づいてくる。
俺はすっかりパニックになっていた。
とにかく逃げるんだ!
本能が命じるままに逃げようとした。
しかし逃げられなかった。
いくら横に逃げようとしても動けなかった。

丸虫は一匹だけではなかった。



すでに何匹もの丸虫に囲まれていた。
何もできなかった。
たいまつを振り回しても無駄だった。

フオォー フオォー

俺は丸虫どもに生きたまま食われていった。



やがて断末魔の悲鳴が聞こえる。
画面にゲームオーバーを告げる文字が映った。
俺はモニターの前で呆然としていた。
手は汗でじっとりと湿っていた。
怖かった。
俺はPCの電源ボタンに手を伸ばすと、
静かに電源を落とした。
もうやめよう。




・・・・・・・・・・・




そして数ヵ月後。

あの場所にひとりの男の姿があった。
かつて逃げ回った大広間の床一面には、
彼がダンジョン内で集めてきた武器防具が整然と並べられている。

フオォー フオォー

男が振り返ると、
一匹の丸虫が彼の鋼鉄製のブーツに噛み付いていた。

男は面倒くさそうに右手にぶらさげていた斧を振り上げ、
丸虫の頭上に振り下ろした。
おぞましい悲鳴が辺りに響いた。
哀れな丸虫はまだ息が残っていたが、
男が呪文を唱えると巨大な火の玉が現れ、
次の瞬間、丸虫がバラバラになった。


男は丸虫の死肉をひとつ拾い、
無造作に口に放り込むと、大広間を見渡した。

不味い。

やはりドラゴンの肉が一番美味い。
また狩りに行くか。

男は床に並べられた武器の列から
ひとまわり大きな斧を手に取り、
ドラゴンの肉を持ち帰るための箱を確認すると、
再びダンジョンの奥へと消えていった。






下手な文章でダラダラと書いてしまいましたが、
まぁ実際に俺が体験したことをそのまま書きました。
文章だけであの時の恐怖感が伝わったかは分かりませんが・・・

結局のところ、
ダンマスで「恐怖」を楽しむプレイヤーが多いのですが、
俺の場合は「支配」でしょうか?
最初は強くて嫌なモンスターも、
経験を積み、弱点を知り、行動パターンが分かるようになる。
ダンジョンに仕掛けられた罠だって同じ。
スイッチを押すと床が抜けて下に落ちてしまう罠があれば、
強くて勝てないモンスターを連れてきて落としてしまえば良い。

ダンジョンを知り尽くすのが楽しい。
あの場所に行って扉を閉めちゃえば安全だ、とか。
あそこには食えるモンスターが無尽蔵に湧く、とか。
ここはよく通る場所だから、必要のないアイテムを置いていこう、とか。
やがて凶悪なダンジョンを自分の庭のように歩けようになる。
それがダンマスの醍醐味だと思ってます。



ダンマスに出会ってからは、
「リアルタイム」という言葉に非常に敏感になりました。
おかげでその後もいろいろとゲームを買っては騙されましたが、
「リアルタイム3Dダンジョン」の最終形態が
ファンタシースターオンラインではないかと、ふと思ったり。

しかしながら、
願わくばネットワーク対応の
多人数同時参加型のダンマスが登場しないかと、
発展し続けるインターネットの世界に、
淡い期待をしてしまうのでした(´・ω・`)




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