第1話 : 最強の武器



ボクの名前はトーハム。
トー○クハムではない。
トーハムだ。


・・・ダサい名前だ。

けど、

 本当のことだから仕方ない。

いろいろと頑張ってみたが、
名前の変更は出来ないっぽい。まぁいいか。

と、いうわけで、
ボクの名前はトーハム。

どうやらボクがこのゲームの主人公のようだ。

ストーリー?
よく分からない。

取り扱い説明書が無いから。

操作方法もよく分からない。
たぶん、キーボードのテンキーと、
マウスを使って動かすんじゃないかな。
ちょっと歩いてみよう。



どこかの地下室らしい。

壁に埋まった機械の中で人が眠っている。
あぁ、なるほど。
こいつらを叩き起こして冒険に連れて行け、ということかな。
ボクの周りのスペースを見る限り、
3人まで仲間に出来そうだ。

慎重に選ぼう。
一生の仲間になるかもしれない。
どうせなら可愛い女の子がいいな。








                       

          


やっぱりひとりで生きていこう。

せっかく安らかな眠りについているのを、
わざわざ起こすのも申し訳ないからね。
このまま冷凍棺桶で眠っていてもらおう。
コールドスリープって言うんだっけ。まぁいいか。



ハシゴを上ると、
薄暗い小部屋に出た。
火のついていない暖炉。
宝箱のようなモノが置いてある。

芸術家のボクとしては奥の絵が気になる。
とりあえずテーブルが邪魔だ。
蹴り壊すほどの体力がボクにあるわけがないので、
ちゅるっと後ろに動かす。



やっと絵の前に辿り着いた。
よく見るとヘタクソな絵だ。
ボクのほうが何倍もうまい。



そうやってイジっていたら、
絵が外れてしまった。
そして後ろにアイテムが隠されている。
ベタな展開だな。







袋を手にとってみると、
なんと中に食い物が入っていた。
これだけあれば、しばらくは食料に困らないね。

すね肉が生っぽくて不安だなぁ。
誰の足だろう・・・



りんごをかじりながら探索を続けると、
銀色の鍵の他に、
マネーボックスなる物があった。
これも手に取って開けるのかな。



おお。財布だ。

・・・なるほど。
種類別に収納できるんだ。
さすが21世紀。ハイテクだね。

そうだ。
さっきポケットに手を入れたとき、
いくらかお金が入っていたような気がする。
このマネーボックスに一緒に入れるか。



お。意外と金持ちじゃんボク。
それにやっぱりハンサムだ。
イケメンって言うんだっけ。まぁいいか。



持っていたお金を全部マネーボックスに入れる。
緑の宝石も入ったぞ。
つーか、宝石もお金なのか。
いつの時代だよ。
なんか不安になってきたなぁ。



周りが暗いから余計に心細いのかもしれないな。
たいまつが壁にかかっているけど、
離れているから妙に暗い。

たいまつを手に持てば明るくなるんだろうけど、
そんな馬鹿な真似はしない。
なぜって?
たいまつを持つイケメンなんているか?



やっぱりRPGといえば魔法だよ。
なんかシンボルを組み合わせて唱えるっぽい。
テレビアニメみたいに大声で叫ばなくても良さそうだ。



ほら明るくなった。
ボクって天才。

目の前に落ちていた宝箱は、
中にフラスコが2個入っていただけ。
無意味に重かったから捨てていこう。



さて、外に出るか。
何かいろいろ置きっぱなしだけど、
必要になったら戻れば良い。
ここを拠点に探索するか。
そう。ここはボクの家。

壁の鍵穴にさっき拾った鍵をぶっさし、
いざ、
扉のボタンを押す!


うぃーん。
     カシャン。
         カシャン。




外は雨らしい。

・・・って、

うわ!なんかいる!!



うわあああああああああ!!

  ぽちっ

いやぁぁああああ!!



たすけてー!!
      ママー!!




ぎゃぁあ!!
      くるなぁ!!


















成敗?






つ、つよい!

扉最強?

いやいや。
それを使いこなすボクが最強。

いきなり最強の武器を手に入れた感じがする。
この扉、持って行きたいな・・・



ようし。
いざ外の世界に出発だ!

あ、ちゃんと扉を閉めて行こう。
ボクの家に勝手にモンスターが入ってくるとイヤだからね。




ぽちっ




うぃーん。
     ガツン!
         ガツン!








・・・あれ?




今日の教訓。

「扉最強」