まさか扉があんなに強いとは・・・ この間はヒドイめにあった。 まさか初めての死が圧死だとは・・・ でも大丈夫。 扉を開ける前にちゃんとセーブしておいたから。 ボクは用心深いのだ。 あのときの黒スライム(仮)もそれほど強くはなかった。 持っていたナイフやりんごを投げつけて ちゃんと成敗できた。 そうそう。 このゲームは手に持てる物ならなんでも投げられる。 ![]() 落ちていた石を黒スライム(仮)に投げつける。 コツンと、軽い音が響く。 なるほど。 本当は石なんかより、 ナイフや手裏剣みたいに、とがった物のほうが痛いらしい。 と、いうことは、 たぶん重い物も痛いんじゃないかな。 ![]() 芸術は爆発だ! いや、爆発はしなかったが、 やはり重いモノを投げつけるのは効果があるようだ。 ドスン!と鈍い音がする。キモチイイ・・・ かといって持てる重量にも限度があるし、 この重い絵をいつまでも持ち歩くのはイヤだなぁ。 もっとまともな武器が欲しいぞ。 ![]() そう言っていると偶然にも鎌を拾った。 さっそく手にとると、本物の武器の重さに思わず感動してしまう。 これなら相当なダメージを与えられそうだ。 ボクでも戦えそうな気がしてきたぞ。 ・・・・・・・・・ んー でもさ、 うれしいけど鎌。 武器だけど鎌。 イケメンなのに鎌。 正直言って今のボクの姿、 あまり他人に見られたくないです・・・ 他の武器はないのか。 もっとオシャレでボクにぴったりのやつ。 ![]() と、偶然にも武器屋を発見。 なんてタイミングが良いんだろう。 いや、良すぎる。 さっきからそうだ。 ボクが何かを望むとそれが目の前に現れる。 まるで導かれているように・・・ 不思議だ。なぜだろう。 この世界のことをボクはよく知っているような気がする。 もしかして、 ボクを操縦しているプレイヤー、 このゲームをクリアしたことがあるのでは? しかも何回も。 ・・・やめよう。 これ以上の詮索は危険だ。 神を怒らせてはならない。 あまり余計なことを言っていると また変な死に方をしそうだから。 ![]() とりあえず大人しく店内に入った。 ショーウィンドーを挟んで 左右にカウンターが2つある。 左が買い取りカウンター。 右が販売カウンターだね。 さっき攻略サイト見てきたから間違いない。 ![]() さっき拾った鎌が売ってる。 金貨1枚に銀貨2枚。 けっこう高いんだな・・・ ![]() これはもう論外。 ボクの全財産の何倍だろう。 ちくしょう。足元見やがって。 ショーウィンドウをぶっ壊してやろうか。 どうせゲームだ。 なにごともチャレンジしておかないと、 後で後悔することになるかもしれない。 ヒュッ! カツン! ・・・・・・・・ 強化ガラスなのだろうか。 それともボクが非力なだけだろうか。 ショーウィンドウにはヒビひとつ入らない。 結論。 色男、金と力は無かりけり。 ![]() お。これなら手が届きそうだ。 緑宝石2個と、金貨1枚。 ボクの財布には緑宝石は1個しかないけど、 金貨がいっぱいあるから間に合うかな。 ![]() とりあえず緑宝石1個と金貨3枚を置いてみる。 ・・・首を横に振られてしまった。 ケチなジジイだ。そんなことじゃモテないぞ。 ここからは銅貨を1枚ずつ置いていく。 こうやって少しずつ金額を上乗せしていくと、 定価より安く売ってくれるらしい。 これも攻略サイトに載っていた。 ![]() ようやくボクの物になった斧。 さっそく辻斬り。じゃなかった。試し切り。 使い勝手はなかなか良好。 ダメージも命中率も今のボクには丁度良い。 しかし問題が。 ![]() 左手にアタッシュケース。 右手に斧。 もう諦めました。 どうやらイケメンじゃないみたいです、ボク・・・ ![]() ブツブツ言いながら歩き回っていると なにやら不思議な看板があった。 どう見てもビールのジョッキに見える・・・ まさかこの世界に飲み屋が存在するとは思えないし、 食料品店かな? ![]() 中に入ると、 いくつかのテーブルと水飲み場があった。 水・・・? そういえばボク、 ゲーム開始から1度も水を飲んでいないんですが。 これはいかん! あやうくこのゲームでもっとも珍しい死に方、 ミイラ死を体験するところだった・・・ ![]() どこで拾ったか忘れちゃったけど、 空っぽの水筒を持っていたのを思い出した。 そういえば家には水飲み場は無かったし、 水の補給ができる場所は、 ちゃんと覚えておかないといけないな・・・ ![]() 満タンになった水筒。 これで3回分の飲み水が確保された。 ・・・・・・ 今ふと思ったんだけど、 ボクの書いている内容ってさ、 すげぇ攻略記事くさくないっスか? 気のせいだよね。うん。 そんなことより何か買おう。 持っていた食料はあまり残ってないし、 ある程度は買い込む必要があるかも・・・ ![]() ぬお! ・・・びっくりしたぁ。誰だこいつ。 モンスターにしては攻撃してくる気配がない。 部屋の隅で微動だにせず、ボクを見ている。 用心棒か・・・ そういえば、 さっきの武器屋でも背後から視線を感じていたような気がする。 それぞれの店に用心棒がいるのか。 ヤツはまるで品定めをするかのようにボクを見ている。 気に入らねえ。 ボクの現在最強の武器、絵画を投げつけてみようか。 いや、やめておこう。 たぶん間違いなく、この前と同じようなオチになるから。 ![]() なんだこれは。 まさか・・・食料? 店長の趣味かな。 グルメなボクには理解できない世界だ。 ![]() うわ。アホみたいに高いぞ。 しかもすげぇまずそう。 マナの花って言うからには、 食うと賢くなるのだろうか・・・ それならボクは一生あぽで良いです・・・ ![]() お。これは安い。 ちょっと重そうだけど、 もうこうなったら贅沢も言っていられない。 人間の食い物ならいいや。 それに、 値段と満腹度を考えれば、 コストパフォーマンスは良さそうだな。 ![]() さっそく右側の販売カウンターで取り引きだ。 店主が反対側にチーズを置く。 ボクがこっち側に銀貨を置く。 店主がテーブルをくるくる回して取り引き終了。 ![]() ん。 ボクがチーズを受け取ると、 向こう側で店主がまたチーズを置きやがった。 もう1個買えってか? 商売上手なジジイだ。 まぁ育ち盛りのボクならチーズの2個くらい、 すぐにでも召し上がってご覧に入れましょう。 あ、でも銀貨はもう無いぞ。 金貨でもいいよね。 おつり、ちゃんとくれるよね。 店主をちらっと見て、 金貨をテーブルの上に・・・ テーブルの上に・・・ ![]() ![]() ち、 ちがうんだ。 ま、まって。 ![]() 今日の教訓。 「物を投げるときは相手を選べ」 |