名匠ラマーズ砲12門。 武器の名前ではない。 ひとりの生物学者の名前だ。 16世紀。アメリカ大陸が発見されてからまだ間もない時代。 世界がどういう形をしているのか、まだ誰も知らなかった。 命がけで大海原に乗り出す冒険家たち。 故郷から遠く離れた地で彼らが目にするものは、 今まで見たことのない動植物の楽園。 それらを発見、調査し、報告書を母国に持ち帰る。 これが生物学者の仕事だ。 ある日のこと、 リスボンの冒険者ギルドで気になる依頼を受けた。 「森の中の黒い影」
サントメはアフリカ大陸のちょうど真ん中あたりに位置する。 ポルトガルの首都リスボンからは船で50日、といったところか。 まぁ、インドに行くよりはよっぽど近いのだが・・・ 問題は距離ではない。 地中海の入り口からアフリカ大陸沿いに南下すると、 しばらくして危険海域に入るのだが、ここが一番危ない。 インドやアフリカ方面から交易品を満載した多くの船が、 ヨーロッパに帰るためにこの辺りを通る。 それを狙った海賊プレイヤーが多く出没する海域なのだ。 ひとりで行くのも心細いので、 今回は可能な限り仲間を集めることにした。 モエギさん、戦場太郎さん、Kyo_1さん、しゅにんたんさん、 そして名匠ラマーズ砲12門の5人で艦隊を組む。 ━━━━━━━━━━━━ 道中は順調だった。航海の途中、 アルギンやカーボヴェルデで地中海の名産品を売りさばき、 かわりにアビジャンやサンジョルジュで、ダイヤモンドや金を買う。 ヨーロッパに持ち帰ることを考えれば、 単価は高いが、インドの胡椒よりも利幅は大きい。 この辺りはヨーロッパから最も近い、ダイヤモンドや金の産出地。 だからこそ、海賊に遭遇する危険も高い。 サンジョルジュを出航して2日目の夜。 雨の中、オランダ船籍の大型ガレーが追ってきた。 赤い名前。無差別海賊だ。 捕まれば命の保障は無い。 こちらの艦隊を引っ張るモエギさんの船は、 縦帆370の商用ジーベック。帆船の中ではかなりの高速船だ。 それでもじわじわと差を詰めてくる海賊。 翌朝、ついに相手の名前が確認できるほどまで接近。 いつ攻撃されてもおかしくない。 しかしここであることに気付いた。 相手が「止まれ」と要求してきたことだ。 ヤツほどの力があれば、 黙っていてもそのうちに追いつけるはずだ。 それでもあえて止まれと要求してきた。 自分が海賊であることに誇りを持ち、 海賊らしいプレイを心がけている、そんなプレイヤーである可能性が高い。 こういう相手には交渉が通じるかもしれない。 ただし、提示する品には細心の注意を払う必要がある。 海賊のプライドを傷つけず、 なおかつ、こちらの被害も最小限度に抑えるのだ。 ついさっきサンジョルジュで購入した金を50樽。 「お金」ではない。「金」だ。 金は交易品の中では最も高価な品である。 これを提示して命乞いをされるなら、 海賊だって悪い気はしないだろう。 今まで一方的だった海賊が、 初めてこちらの声に反応した。 チャンスだ! 海賊の気が変わらないうちに取り引きを済ませねば! 逆らう意思が無いことを示すため、減速する。 ゆっくりと海賊が前方に回りこむ・・・ 交渉成功! 金を受け取り、Uターンする海賊。 そして・・・ お約束 あっちが海賊としての役柄に徹するならば、 こっちもそれに応える!それが礼儀! 例え相手が海賊であろうと!(゜Д゜) 最後の最後に、フッと笑ってくれた海賊。 こちらから差し出したとはいえ、交易品を奪われた。 それなのに、不思議と心は晴れやかだった。 長い旅路の末、 ようやく「森の中の黒い影」を発見。 って、ゴリラかよ!Σ(゜Д゜) なるほど。 この頃はまだゴリラも未知の生物だったのか。 大航海時代オンライン。勉強になるゲームだ・・・ ━━━━ おまけ ━━━━ 名匠ラマーズ砲12門の尻に顔を埋める戦場太郎さんと、 それを見て呆れるモエギさん。 とても平和。 |